料理は「塩加減」が命
料理は「塩」で決まる
しょっぱい寸前で留める技術
キッチンスタッフを率いている酒井料理長が、料理への想いについて語ってくれました。
料理で最も大切で難しいのは、塩だと思うんです。
世の中は減塩ブームなんですが、料理にはやっぱり最低限の塩は必要なんです。
ギリギリしょっぱくない!
これ以上塩したらヤバいぞ!
というラインを見極めることが大事なんです。
料理の中で塩加減が一番難しいんですよね、実は。
料理人の塩加減を統一するのに約半年
この努力が、80名全員においしさを届ける
婚礼では80名ほどの料理を一気に出します。
自分ひとりで全てを作り上げ一番おいしい状態でお客様へお出しするのは不可能なので、スタッフには私の塩加減を覚えてもらうのが最初にする仕事です。
料理人も一人の人。生まれ育った環境によって、薄味の人もいれば濃い味の人もいる。その癖を知ったうえで、自分の塩加減を覚えてもらい統一するんです。
「こういう風にしてほしい」と伝えて思ったような料理が出来上がってくる…。
そんな状態になるまで半年ぐらいかかりますね。
それでも微妙に違ってくるのが、塩加減の難しいところ。
そこでソースで調整するんです。
ソースを作る担当には、塩を打つ料理人の癖をしっかり覚えて微調整するように伝えています。
それぞれの癖を把握するのに、1か月ぐらいかかるかな。
そのぐらい、塩加減については慎重にすり合わせをしています。
「万人受け」と「個性」の
さじ加減が成功のカギ
単純に料理を作る楽しさを追求するなら、レストランの方が楽しいんですよね、実は。レストランへは料理を味わうために来てくれるので、自分のスタイルや個性を出しやすいんです。気に入ってくれない人は、来てくれなくていい!という覚悟で作れますから。
でも、ウェディングの場合は、そうはいきません。
「まずい」と思われる方がひとりでもいたら、失敗なんです。したがって、いかにお客様に合わせるのかが難しくもあり、醍醐味でもあるんですよね。
婚礼料理に「個性」は必要ない?
打合せを念入りに行い
列席者の好みに合わせて個性を出す
わかりやすく言えば、披露宴の料理では自分を抑えています。
個性を出しすぎるとお客様の方の好みに合わなくなる可能性が高くなりますから。かといって、個性が全くないのも淋しいので、個性をどこまで出すのか、そのさじ加減が悩みどころです。
だからこそ、どんな方が列席するのか。
そのヒントをいただけるおふたりとの打合せが、とっても重要なんですよ。
打合せに必要なのは「感性」
列席者が求める料理を
的確にキャッチする感性が大切
先ほども言いましたが、婚礼では一人でも「まずい」と思われる方がいらっしゃったら失敗なんです。
おいしいけど、なんだか違う…。ということも避けたい。
だからこそ、列席者がどういう方なのか、見極めなくてはなりません。
どういうものを求めていて、どんなものを食べたいのか?おふたりとの打合せの中で感じ取ることがとても重要なんです。
よいメニューを提案するために
鋭い感性をはぐくむ方法
おふたりとのさり気ない会話の中から、それをキャッチする…。なかなか一朝一夕にはできません。
そのために、例えば電車に乗っている時にも、前に座っている人がどういう人なのか、こっそり観察したりしています。
こういう積み重ねが、メニューの提案に活きてくるんですよ。
年配ゲストへの配慮の仕方
フランス料理を食べ慣れない方にも
ストレスなく味わってもらうために
メニューを考えるうえで一番気を遣うのは、年配のご列席者のことです。
若い方は割とどんな料理でも受け入れてくれるんですが、年配の方は「結婚式と言えば和洋折衷」と思われている方もいらっしゃいます。
そういう方に「フランス料理だったけど食べやすかった」と言っていただける料理を目指しています。
お箸で食べられるようにすることだけが
年配者への気配りではない
素材や調味料に和のものを取り入れることはよくあります。また、ナイフ・フォークを使い慣れていらっしゃらない方が多いのであれば、気軽にお箸で食べられるように細かくカットして出すというのもひとつの方法です。
ただ、お肉はカットすると肉汁が出てしまうので、そのままサーブさせていただいた方が美味しく味わっていただけるんですよね。親御さんもナイフ・フォークを使える世代に変わってきているので、そこは列席者のタイプに合わせて変えています。
年配者が多い=箸で食べられるようにすること。という単純な気遣いではなく、おいしく味わっていただくために何がベストなのかを常に考えています。
残さず食べていただくために
おいしいだけでは、合格とは言えない
タイミングやボリュームにもこだわりを
婚礼料理を作り始めたばかりの頃は、おいしい料理を出せばいいと単純に思っていたんです。でも、お客様が食べるペースに合わせて作ったり、それをサーブするタイミングも重要なんだなっていうのにある時気づいたんです。
もともと披露宴の料理は、残す方が多いと言われていました。それは、作り置きして味が落ちていたり、量が多すぎるというのが主な原因なんですよね。
適切なボリュームと個別対応で
デザートまで美味しく完食できるように
アルカンシエルではお客様の食べるペースに合わせて料理を作ったり、料理の総重量を決めているんです。そう、品数が変わっても量は変わらないんですよ。例えば、おふたりと打合せをして品数を増やした場合、一品一品のボリュームを少なくしています。デザートビュッフェも含めて量を考えているので、最後まで美味しく食べられるんです。
メインのお肉料理でお腹いっぱいになってしまって、デザートが食べられない!なんてことがないように。
残してほしくないんですよね。
だから、アレルギー対応はもちろん、ベジタリアンの方がいらっしゃることが発覚したらその場で対応したり…。
みなさまに最後までおいしく食べていただきたい。
すべては、そんな想いから行っていることです。
ガラス食器にこだわる意味
おいしさをキープするために選んだのは
保温性に優れたギリシャ製のガラス食器
料理は作りたてが一番おいしいので、サービススタッフには作ってすぐのアツアツの状態でお客様に届けてもらっています。そして、おいしい状態ができるだけ長く続くようにとこだわっているのが器です。
器はギリシャで作ってもらったガラス製のものを使用しています。
もともと耐熱ですし、陶器のお皿よりも保温力が高いんです。分厚い分だけ、なかなか温度が落ちないのがいいなぁと。
デザインにこだわれるのもガラスならでは
食器はすべてオリジナル!
デザインが豊富で目でも楽しめるのはガラスの器ならではですよね。
型は200種類、デザインは100種類ぐらいあるので、それを組み合わせてギリシャで作ってもらっています。