仏前式ってどんな結婚式?神前式との違いや挙式の流れ、チェックポイントも
挙式スタイルのひとつである仏前式。神前式と同じく和装婚に分類されるものですが、どのような結婚式なのか、また神前式と何が違うのか分からない人もいるでしょう。以下では、仏前式の概要、メリット、選ぶ際にチェックしておくと良いポイントや、仏前式の流れや衣裳について解説します。和装婚を検討中の人は、ぜひ参考にしてください。
仏前式とは?
まず仏前式とは何かについて見ていきましょう。仏前式の意味合いや行われる場所、また、同じく和装の結婚式である神前式との違いについても解説します。
仏様に対して結婚を報告する儀式
仏前式とは、仏様や先祖に結婚の報告をする儀式のことです。仏教においては、ふたりが前世から運命的に結びついているとし、その感謝の気持ちを仏様に伝えるという意味合いがあります。
仏前式は、僧侶による進行のもと、お寺や自宅の仏前で行うのが一般的です。その他、仏前式に対応している会場でも行えます。
神前式との違い
仏前式が仏様や先祖に結婚を報告するのに対し、神前式は神様に結婚を報告するもの。両家の結びつきを強くする・これからのご加護を願うといった意味合いがあり、神職による進行のもと、神社や神殿のある施設で執り行われます。
仏前式を選ぶメリット
続いて仏前式で挙げるメリットを解説します。仏前式には、他の挙式スタイルとはまた違った魅力があります。より強い結びつきを意識したい人、印象深い結婚式にしたい人には特にぴったりな挙式スタイルと言えるでしょう。
厳かな雰囲気を感じられる
伝統的な仏教儀式である仏前式は、厳粛さをより感じられます。挙式会場がお寺の本堂の場合、お香が焚かれ、雅楽が流れる中で執り行われるため、歴史の重みを感じられるでしょう。
ふたりの結びつきや先祖の存在をより強く意識できる
仏様や先祖にふたりが巡り合えたことの感謝を伝える仏前式だからこそ、ふたりの結びつきをより強く感じられます。先祖あってこそ今の自分がいるのであり、パートナーと巡り合えたと言えます。仏前式では、先祖の存在を改めて認識でき、大切にしようという気持ちや感謝の気持ちを持てるでしょう。
印象深く、参列者の心に残りやすい
挙式スタイルの中で仏前式を選択する人は比較的少ないため、仏前式が未体験という参列者も多いはず。ふたりだけでなく、親や参列者にとっても印象深い結婚式となるのではないでしょうか。
仏前式を選ぶ際のチェックポイント
次に、仏前式を検討する際にしてチェックおきたいポイントを紹介します。仏前式は他の挙式スタイルと異なる点があるので、以下のポイントを確認し、自分達に合うスタイルか考えてみてください。
①身内以外も参列できるか
仏前式の参列者は、基本的に当人とその親・親戚のみとされています。これは、仏前式が先祖に結婚の報告をする儀式であり、友人・知人は先祖と直接関わりがないとされるためです。しかし、最近では家族や親族以外の参加が認められるケースもあります。ふたりの門出に際し、大切な友人達にも立ち会ってほしいと思っている人は、事前に確認してみてくださいね。
②両家はどの宗派か
両家で仏教の宗派が異なる場合は、どちらか一方に合わせる必要があります。両家どちらの宗派に合わせるという決まりは特にありません。新郎側の宗派に合わせるケースが多いですが、トラブルにならないよう事前に両家で確認・話し合いをし、決めた宗派のお寺で結婚式を挙げましょう。
③希望のお寺が仏前式に対応しているか
仏前式はどのお寺でも挙げられるとは限りません。自宅で挙げる場合は問題ありませんが、希望のお寺がある場合は、仏前式に対応しているかどうかを確認しましょう。自分の家と縁のあるお寺に尋ねてみるのもひとつの手です。
④披露宴会場が併設されているかどうか
挙式から続けて披露宴を挙げる場合は、別途、披露宴会場の手配が必要となることがあります。一般的な結婚式場とは異なり、お寺で仏前式を挙げる場合、プロデューサーがいない・披露宴会場が併設されていないといったケースが多く見られるもの。そのため、挙式後は別会場に移動して披露宴を行います。
挙式と披露宴をセットで行うのであれば、仏前式であることを披露宴会場にあらかじめ相談するのがおすすめです。そして、ヘアメイクやアテンドを仏前式から用意してもらう、挙式後の送迎を手配してもらえるよう仏前式も含めた打合せをする、などを検討してみてください。
仏前式の一般的な流れ
次に、仏前式の一般的な流れを見ていきましょう。一連の流れは20分程度。宗派や自宅で行う場合流れが多少異なる場合がありますので、事前に確認しておくことをおすすめします。
入堂
参列者→新郎新婦(媒酌人と一緒に)→僧侶の順で入堂。入堂後、僧侶が焼香をし、終わったら全員で合掌します。
敬白文朗読(けいびゃくもんろうどく)
僧侶が敬白文を読むこと。敬白文とは、仏様と先祖に対して、これから結婚式を行う旨を報告するための言葉のことです。
念珠授与(ねんじゅじゅよ)
僧侶から新郎新婦に念珠(数珠)が授与される、仏前式における大切な儀式。新郎は白い房のもの、新婦は赤い房のもので、式が終わるまで左手の四指にかけておきます。なお、挙式内で指輪を交換する場合は、このタイミングで行いましょう。
司婚の儀(しこんのぎ)
僧侶の問いに答える形で結婚の誓いを述べる儀式のこと。その後、誓いの言葉にあたる誓詞(せいし)を読み上げることで、結婚が成立します。
焼香(しょうこう)
新郎新婦→参列者の順で焼香を行います。左手に念珠をかけて右手で焼香をし、最後に合掌をします。
誓盃(せいはい)
式杯と呼ばれ、神前式で言う三々九度にあたるもの。新婦→新郎→新婦の順で盃を交わし、夫婦の契りを結びます。
親族固めの杯
参列者で祝杯をあげる儀式のことで、参列者全員が親族として結びつきを持つことを意味します。杯を3回に分けてすべて飲んだら合掌しましょう。
法話
僧侶が、お祝いの言葉と法話を述べること。結婚を祝うとともに、仏教の教えを伝えます。
退堂
全員が起立して合掌・礼拝をした後、僧侶→新郎新婦→媒酌人→親→親族の順に退場します。なお、退場の順番は宗派によって異なるので、事前に確認しましょう。
仏前式の衣裳や持ち物
最後に、仏前式の衣裳や持ち物について解説します。よく着られる衣裳はどんなものが多いか、また衣裳はどのように手配するのか、参列者にはどのような服装をお願いするのかなども踏まえて検討してみてください。
和装スタイルが定番
神前式同様、新郎新婦ともに和装スタイルが定番。和装の中でも格式が高いとされる、紋付羽織袴(新郎)や白無垢(新婦)を好むカップルが多い傾向にあります。その他、色打掛や引振袖も人気が高いです。
仏前式だから和装にすべきという決まりは特にありません。なかには、ウエディングドレスやタキシードを着て仏前式をする人もいます。ただし、宗派や利用するお寺によって対応が異なるので、事前に確認しましょう。
ヘアメイクや衣裳の手配が必要なケースも
お寺や家で仏前式を行う場合は、基本的に自分で衣裳の手配をする必要があります。その際、着付けやヘアメイクなどの手配も必要になりますので考慮しておきましょう。
参列者の服装や持ち物
仏前式には、服装や持ち物に関するマナーがあります。招待状にメッセージを添えるなどして、事前に参列者に伝えてくださいね。
①数珠が必要
数珠は経を唱えるために使うのに加え、魔除けやお守りとしての役割があります。新郎新婦・参列者ともに必要なものです。
②正座をしやすい服装
お寺の場合、正座しなければいけない場面が多いもの。短めのスカートやパンツスタイルは避けます。
③香水をつけない
会場内では焼香をしたりお香を焚いたりします。香水と混ざると不快な匂いになる可能性があるため、香水を控えてもらうようにお願いしましょう。
仏前式の厳かな雰囲気とともに感謝の気持ちを伝えよう
仏様・ご先祖様に対して結婚の報告をする仏前式。挙式スタイルとしては少数派ではありますが、厳かな雰囲気の中で落ち着いて結婚式を行えます。基本的に身内だけを招いて行うので、ごく近しい人にしっかり感謝の気持ちを伝えたい、という人は仏前式を検討してみてはいかがでしょうか。本記事で紹介したチェックポイントを把握し、心に残る結婚式を作り上げてくださいね。